田舎暮らし　人生創造　浅野誠

　息子家族の家づくりで、短い期間だが鹿児島に出かけた。
　鹿児島訪問は、今回で10回目ぐらいか、と思う。でも知覧は行ったことがなかった。

　知覧特攻平和会館とミュージアム知覧は隣接している。
　平和会館は、戦没特攻隊員を中心にした展示で、沖縄の平和祈念の諸施設とは随分趣が異なっていた。特攻機の展示もあったが、製造工場として『中島』の名があったことに気付いた。私の父親が戦中の軍事徴用で働いていたところだ。映画「ホタル」にかかわる展示もあった。10年近く前に見た映画だ。
　戦争の悲惨・不条理・抑圧などをどう描き、どう受け止め、どう｢継承｣するのか、いろいろな思いが混じり合って出てくる。

　ミュージアム知覧は、知覧の歴史などが描かれる。
　印象にのこったこと３つ。
１）数千年ごとに異なる火山の大規模噴火で堆積した火山灰の地層。その間に織り込まれた人類の文化跡。自然史のなかの人類史。いずれ出会うだろう次の噴火に、人々はどう対応するのだろうか。
２）近世期の「隠れ念仏」。薩摩の一向宗弾圧。キリシタン弾圧は知られているが、これはそれほど知られていない。それは、薩摩支配下の沖縄にも及んだ。
３）近世薩摩の一つの支配形態としての武家の地方居住。それを観光化した武家屋敷・庭園群。
　豊か、というか豪勢な屋敷・庭園だ。その美しさは、とても人工的だ。庭園木の刈り込みがそれを象徴する。独特の風情を感じるが、あまりにも人工的だ、とも感じる。