近年、学生の人間関係が小さくなり、数人ないしは2,3人の関係が多いとよくいわれる。一人ボッチの学生も結構いそうだ。10人ぐらいの仲間をもつのは、サークルなどに属する少数派だ。学科などでの付き合いで人間関係をつくるのも少数派で、いても3年生以上というのが多い。以前なら、学科などで飲み会などの行事がごく普通だったが、近年では大学入学後、飲み会にも出たことがない、と語るも学生も珍しくない。
いまや「帰宅部」ないしは「バイト部」の学生の方が多数派なのだ。そして、とても少ない知り合いとは、メール交換し、濃密な関係を作ることも多い。
授業は、学生が集まるわけだから、そこに人間関係ができ広がるのは当たり前だと思っているとそうでもない。教室にいっしょにいるわけだから、顔は知っていても、声を掛け合ったことはほとんどないし、名前を覚えるということも、目立つ学生以外には少ないのが現状だ。
私は、授業の場も学生相互の人間関係をつくり広げる重要な場になると考えている。とくに私の場合、相互の人間関係を作り広げないと、授業が進行しないし、深まりもしていかないワークショップスタイル授業だから当然ではあるが。
さて、前回紹介した授業終了時点で記入提出してもらうミニメモだが、それには、受講生のなかの1~2名に頼んで、自分の「本日の活躍点」などを記入してもらう。そのことで、当人は恥ずかしくて書けない活躍点を他者に書いてもらい、当人が改めて自分を理解し、授業者の私もそれを知ることができる。また、記入することが他者評価の仕方を学べるし、書き合うことで相互関係が促進される。
加えて、毎回同じ人ではなく記入者を変えてもらうことで、10~20人という、より多くの人との関係を作り出すことができる。とはいっても、15回授業の後半になると、新しい人を探し頼むことが難しくなるので、新しい人に書いてもらうことへのこだわりはやめていく。
こうして、多くの受講生間に相互関係が築かれていく。共同作業をするグループ編成する時も、既存の人間関係だけでなく、新規にできた人間関係を生かしていくことが多くなる。
私の授業は、ワークショップスタイルが大半を占めるが、その多くはグループ活動として展開する。グループの継続期間は、10~20分間ぐらいの即席グループだったり、数回の授業をとおして継続するグループであったりする。多様な出会いを重視する場合と、共同創造の深まりを重視する場合とで異なるからだ。
いずれにしても、人間関係の深まりと授業の中味の深まりとが並行して進行していく。
先日久しぶりに会った、沖縄国際大学での数年前の受講生が、「その授業で共同作業したグループは親交が深まり、飲み会までもつに至ったが、大学でそんな機会をもつのは、授業以外でもまれだ。」と話してくれた。
私の授業は、そんな機会になるらしい。ちなみにいうと、私の授業での学科学部を越えた出会い、つながりが結婚までに至る例がかなりある。
写真は本文と関係なく、スイレンの花 グッピー水槽で開花