エネルギー溢れる「沖縄燦々」

浅野誠

2013年02月23日 11:28

 20日夜、新装沖縄タイムスホールで観る。
 沖縄芸能どころか、日本全体の芸能の大御所である三隅治雄さんの作演出による舞踊劇だ。かねてからおつきあいのある、ACOからの御招待だ。
 1時間余りと短いのだが、すべて踊りで綴られている。沖縄芸能の粋を、現代風にというか、若者にも響くように、あるいは沖縄外からの来訪者にも響くように構成されている。それだけに極めて新鮮なインパクトをもっている。
 三隅さんの本は読んだことがあるが、こういう現代的感覚の作演出をなさるとは驚きだ。おそらく八〇歳代だろうし、その晩も来られていた。
 
 踊り手は、注目の若手踊り手の佐辺良和、そして女性五名で、すべて進行する。音楽は、ロック・バイオリニスト ARIA。
 よくもまあ、こんなエネルギッシュな踊りを続けられるものだ、と感心の域を越えてしまう。
 そして、とびきり美しい。沖縄の広さ深さを「燦々」と表現。
 圧倒された。
 伝統舞踊の世界を継承しつつ、モダンダンスの世界を表現している。沖縄のパワーそのものだ。
 こうしたうねりが生まれていることを、おおいに喜びたい。

 このところ、こうした舞台を連続して鑑賞し圧倒されている。終了後、17日に観劇した『玉露の妖精』の作・演出・主役をした西村綾乃さんと、お話する機会があった。こうした若手が新しい沖縄芸能を創造している。 この後の物語展開が、大変楽しみだ。

 ところで、ACOは、「人と人、人と地域を結ぶ「文化」の役割を重視し、「文化」による地域の活性化と豊かな環境作り、芸術文化の発展をめざし沖縄を拠点に地域の文化を取り入れたオリジナルな創造活動や時代を見据えた作品を企画・制作しています。」というパンフレット説明にある通りの活動を精力的に展開している。キジムナーフェスタが代表的なものだが、その他多面的に活動をすすめている。
 今回の公演は、『「めんそーれ美ら島沖縄」~沖縄文化観光ファン増大促進事業~』の一環だが、無料公開して鑑賞者のアンケート結果をもとに、今後の公演のきっかけにしようというものだ。
 すでに沖縄舞踊の日常公演が観光客向けにいろいろと行われているが、そうしたものに、こうした公演が付け加わると、一段と興味深く「活性化」がおしすすめられていくだろう。

 写真は本文に関係なく、洋蘭博覧会で撮影。

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