親子密着から分離へ 親による子どもの教育の構築へ 子育てワザ4

浅野誠

2013年02月20日 06:27

 最近、こんな例が眼につく。
・我が子が中学生になっても、幼児に対するように話しかける親。
・小学生になっても、子どもに家事をさせない親
・子どもの喧嘩に親が首を突っ込んで、我が子を何が何でもかばい、会い点子どもを攻撃する親。
・高校生どころか大学生になっても、自動車送迎で通学させている親。
・経済的にゆとりがあるが、親が寂しいという隠れた理由で、遠方の大学への子どもの進学希望を拒否する親。
・親のことが心配で、恋人関係を発展させ結婚に至ることを迷う20代の子ども
・20歳になっても、自分が着る服装の選択を親に任せる子ども
・自宅で親と一緒に住みながら、20代になっても、家事を親任せにする子ども

 こうしたことを、つぎのように表現することができよう。
・親子密着。
・親が子どもの保護世話をし、子どもがそれに依存するという一方向関係であり、子どもが親を保護世話するという関係を含んだ双方向関係、いい方を変えると相互協力関係が成立しないまま、子どもが大人になる。
・親子関係におけるタテ型が、子どもが成人するころまで続く
・年齢は、たとえ二〇歳でも、親との関係では幼児期のままの子どもである。
・親も幼児期を持つ親のレベルにとどまり、二〇歳の子どもを持つ親になりきれない。
・子どもを所有物だと思ってしまう。子どもは親のいうなりに振る舞わなければならない、と考える親。

 こうしたことが異常ではなく、ごく当たり前のことだと思い込んでいる親子、とくに親が多い。外との付き合いが少なく、閉じられがちな状態で親子関係がすすむと、陥りやすい。
 こうしたことを象徴する出来事として、「中学生は反抗期だ」という言葉を聞くことが激減し、対照的に、「私たちは親子関係がよくて、親への反抗などありません」という言葉が増えている。『尊敬』『信頼』といったように、親を肯定的に捉える大学生がとても増えているが、それだけ親への依存度が増し、自立度が低いまま成人しているかもしれない。
 「親子関係がいい」という場合に、親が子どもを一方向的に世話保護するのではなく、子どもが成人にふさわしい力を身に付け、必要に応じて、親を世話保護する事ができる態勢をもつという双方向的な関係へと転換していくことが求められる。それをめぐって、大きな困難が広がっている、といえるだろう。
 それは、親による子どもへの教育という課題が抜け落ちている状況が広がっていることを示す。したがって、その状況を越えて、親による子どもの教育を復活させていく、ないしは現代にふさわしい形で再構築するという課題が存在している。教育を外注に任せきりにするとか、教育を保護世話と取り違えるとかから抜け出して、親による子どもの教育を再構築していくということである。また、教育を再構築するということは、親子関係を保護世話が大きな比重を占める幼児期レベルから転換させていくということでもある。
(続く)

 写真は本文に関係なく、洋蘭博覧会会場の空を撮影。

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